ミックスダウン プロの技を教えます

ミュージシャンのミックス例

DiGiRECO読者の皆さん、はじめまして。Mustache(ますたっしゅ)では主に音源製作を担当している谷岡です。
今回この企画に取り上げて戴いた楽曲「シャーラザッド」は、現在製作中のアルバム「千夜一夜物語」の顔となる曲であり、物語の語部の女性を歌った壮大な“物語ロック”となっています。
ちなみに“物語ロック”とは?という方は、Mustacheのオリジナルな音楽ジャンルだと認識していただければ…(笑)。
さて、デモ段階から幾度となく手を加え、最終的なアレンジ・ミックス段階ではM谷社長の度重なる駄目出しをくぐり抜けて来た楽曲ですが、未だにボーカルの閉塞感やコーラスの人数感の不足、各パートの分離感等に不満を持っています。
おそらく、技術不足の私にとって、その手の満足感や達成感を味わうというのは、ずっと先の事のように思います。
ミックス作業において、各楽器のバランスや音質、音の重心、空間の広がり、どれも最終的に楽曲のイメージを決定付ける大事な要素だと認識しています。それゆえに自分のイメージした音にならないとストレスを抱えることもしばしば(笑)。(ミックス作業が一番楽しい時間であったりもするわけですが)
そのような訳で、“物語ロック”を他の方がどのように調理されるのか?私が抱えている不満点を解消するにはどうすれば良いのか?等々…多くの事を学べる機会を与えて頂いたことに感謝すると共に、少しでもDiGiRECO読者の皆さんの為になれば幸いです。

Mustache(マスタッシュ)
物語・童話などの題材を音楽化し“聴かせる物語”をコンセプトとした二人組みのユニット。
古今東西の物語を独自に解釈したものから、オリジナルのものまで、非現実な世界を、妖しく幻想的なMustache独自の世界観で表現している。物語と音楽の融合をテーマに様々な顔を見せるMustacheの“物語ロック”!それを聴いた瞬間、あなたの目の前に広がる、どこか懐かしい風景…そう、あなたはもう物語の中にいる…。

■使用環境
DAW:Cakewalk SONAR6 Producer Edition/Plug-ins:IK Multimedia CSR、T-RackS Plug-In、BBE Sonic Maximizer plug-inなど/OS:Windows XP/CPU:Pentium4 3.4GHz/メモリ:3GB
Mustache   downroad
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プロ・エンジニアのミックス例

このミックスで私が意識したのは「ボーカルの開放感」と「コーラスの多人数感」そして「各パートの分離感」です。つまり、曲の作者であるMustacheさんが希望していた点ということになります。で、この3つの課題には、ある1つの共通問題が潜んでいることに最初から目をつけていました。キーワードは「飽和」です。
ミックスダウンなどの音作りで、常に意識しておきたい大切なポイントがあります。それはバケツの水です。当たり前のことですがバケツには容量が決まっており、その容量以上の水を詰め込むことはできません。これと同じようにミックスダウンにも「これ以上入りません」という上限が決まっており、その枠内に全ての音をどうやって上手く詰め込むかがポイントとなってくるのです(あ、これは私だけのイメージかもしれませんが…)。
すべての音を上手に、そして余裕を持って詰め込むためには、不要な部分を削ってしまえばいいのです。
そしてこの削り方にエンジニアのノウハウがあるのだと思います。いいバランスで飽和ラインのぎりぎりまで持っていく。これが今回の私のミックスポイントです。
セパレート感がありながらも、必要な部分では全ての音を太い束にして混ぜ合わせる。そんな非現実的で夢物語的な理想を野望を意識しながら、まずは勢い重視でミックスダウンをしてみました。

覆面エンジニア
都内某スタジオに勤務するエンジニア。
メジャーアーティストからインディーズアーティストまで、非常に振り幅の大きい活動をしている。
特技は人柄。「人柄で売っているエンジニアは世界でもそう多くはないだろう」というのが口癖である。
最近ではモンゴルの馬乳酒にはまっており、ハードな仕事の後は、必ずスタジオ近くのモンゴル居酒屋に立ち寄るらしい。
好きな音楽は、聞いていて疲れないもの、メッセージ色の薄いポップス。

■使用環境
DAW:Steinberg Cubase SX3/Plug-ins:UAD 1176LN、UAD PULTEC EQP-1A/UAD PULTEC MEQ-5、Waves Renaissance Equalizer、Waves IR-1など/OS:Windows XP/CPU:AMD Athlon 64 X2 +4400/メモリ:2GB
覆面エンジニア   downroad
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編集長のミックス例

エライことになりました(汗)。クチで言うのはたやすいですが、実際に作業をするなんて…。
毎月ライブをしている身ですので、普段からギターはよく弾いていますが、こういう機会でもない限り、きっと自分でDAWを操作して、ミックスするなんてないだろうなと思い、一念発起、誌面の企画なのか、自分のリハビリなのかわからない感じですが、とりあえずやってみることになったミックスダウン。実際の操作は編集部のSクンに任せて、ボクは指示するだけ…的確にね(笑)。果たしてこれで勉強になるのか。なりますよ。なりましたよっ。
うっひょう〜、なんじゃこれ、83トラック? ボクのバンド、BLOOD SABBATHのライブ録音なんて8トラックだぜ! なんだこのパート? これいるか? 
…と、ブツブツ言いながら、操作担当のSクンに無理難題な指示を出し、なんとか仕上がったミックスダウン。ボクがミックスする…当然、ハードロック/ヘヴィメタル色の強いサウンドになると思っていましたが、ま、予想通りの感じに仕上がったと思います。
作品のテーマが「千夜一夜」だけに、ミックスのポイントは壮厳さと重厚さに焦点を当てた…というか、ボクが係わるとこっちになるよね(笑)。
シンセが少ないのでシンフォニックとまではいかないけど、プログレやシンフォニックとメタルの融合を思い描きました。ここまで言い切ってんだから、他の人のミックスとちゃんと差が出ていますように…(祈)。

三谷佳之
株式会社ミュージックネットワーク 代表取締役/本誌編集長
ハードロック/ヘヴィメタルが大好きな当社社長にして、デジレコとエレギの編集長。趣味が高じて、ヘヴィメタルの元祖BLACK SABBATHの販促バンドBLOOD SABBATHを昨年夏に結成。アイオミタニと名乗る。
公私混同、職権濫用を旗印に掲げ、目黒鹿鳴館で毎月ライブをしている爆音大好きヘヴィメタラー。

■使用環境
DAW:ProTools M-Powered 7.3/Plug-ins:Bomb Factory BF76 Compressor、DigiRack 4-Band EQ、D-Verb PSP VINTAGE WARMERなど/OS:MacOS X/CPU:Intel Core Duo/メモリ:1GB
三谷   downroad
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